慣れてないのですみません。と謝っておくブログ

詩を書いたり書かなかったりします。

ゆりかご

ゆりかごは規則ただしくゆらぐ

伸ばした足先から少しばかり角度をつけて仰向けになる
大きなフロントガラスから眺める人のうちに
親しい顔を見つける
近寄ったから手を振ってみるも気付かれることはなく
外からは見えないんですよ、と声がする
わたしからはこんなに近くに見えるのに

数週間前、ひどい腹痛がした
具合の悪さを気にかけてくれた友人に
そろそろだからと話すとすぐさま納得される
そんな女同士の会話をしたあとから続いている熱っぽさに
せっせと風邪薬を飲んでいた
いつもの痛みと違ったことには、さして気にも留めないままに

プラカードを持つ手は若い
呼びかける声に張りがあって
協力しようという気持ちにもなる
この子たちは
私たちの子供でもある
同じ年月成長をした

喉が渇いたので自販機に向かう
途中にあったこのマイクロバスにかかずらう理由を反芻する
ドリンク代が浮くと思って
こんなに時間がかかるとは思わないでいたから
何度も頭で繰り返す
にこやかに口元が動くように

入口には問診を受ける若者がいる

プラカードを掲げていた若者の仲間らしい

僕たちが頼んで来てもらったのでそう声が聞こえる

この献血車がここにある理由がある

わたしは53kgと記入した
説明は充分に受けた
400ccを採り終えると
看護婦はやさしく抱き上げる

そうやってわたしは翌日

一人身となったのでした